【サメ】ジンベエザメの生態

ジンベエザメ

 

サメ好き演劇人が解説するサメの生態シリーズ!

今回はジンベエザメです。

 

 

説明不要、世界で一番大きなサメであり、世界で一番大きな魚であるジンベエザメ。

いろんなサメの生態を紹介していくなら確実に外せないサメのひとつ。

さぁ、今回はそんなジンベエザメの生態の解説です。

はりきってどーぞ!

 

1.ジンベエザメとは

ジンベエザメは、テンジクザメ目ジンベエザメ科に属するサメです。英名はWhale Shark(ホエール・シャーク)。日本語に直訳するとクジラザメで、まさに見た目そのまんまですね。

生き物ぜんぜん詳しくない人でも「ジンベエザメは知ってるよ!」というぐらいに知名度はバツグン。媒体によってはジンベイザメと表記されていることもありますが、いちおうジンベエザメのほうが正式表記のようで。このぺージでも表記はジンベエザメで統一したいと思います。

 

2.ジンベエザメの身体的な特徴

ジンベエザメのサイズ感

サメの中では圧倒的な体長を誇る最大種で、現存する魚類の中でもナンバーワンのサイズを誇ります。早い話がジンベエザメは「世界一大きな魚」になります(ちなみに「世界一大きな生き物」であればシロナガスクジラ)。

正式に確認されているものでは2001年に計測された全長18.8メートルの個体が最大と言われています。顔の幅だけで成人男性の身長ぐらいあるという、驚異的な大きさ。ただしあくまでこれは最大サイズの話で、一般的に観察できるジンベエザメは10メートル以下のものがほとんどです。

 

ジンベエザメのビジュアル

ジンベエザメはそのビジュアルも独特で、以下のような特徴があります。

・真上から見ると頭部が最も幅が大きくて、尾に向かって少しずつ細くなっていく。平べったい。鬼太郎に出てくる一反木綿的なシルエット。
・頭と同じサイズまで迫るような大きな口
・やや後ろについた第一背ビレ、やや丸みのある胸ビレ
・幼魚時代は尾ビレの上部が長いが、成熟すると上下等しい長さに近づいてくる
・背中側が白く細かい斑点でびっしりと覆われており、尾のほうにいくにつれてその斑点は規則的な格子のように並ぶようになる。和名はこの模様が甚平模様に似ていることが由来になっている。腹部は薄い灰色。

サイズがとにかく大きい事、特徴的な模様があることから、サメの中ではもちろん、他の生物との区別に迷うことも全くないと思います。

また模様に関してはかなり個体差があるらしく、研究者達はその模様を見て個体の識別をしているとのこと。環境保全団体WWFではフィリピンで観測される400~500のジンベエザメについて、それぞれ個体の写真を撮ってカタログ化しているそうです。

ジンベエザメの歯

ジンベエザメは後述するとおりプランクトンを主食にしますが、実は小さくて細かな歯が8000本程度備わっています。食事の際には歯は使用しませんが、交尾の際に相手の体を咬んで固定したり、もしくは母親の体内にいるときに無受精卵を食べたりする際に使っている可能性はありえますね。

 

ジンベエザメは眼球にも歯がある?

結論から言えばもちろん歯ではないのですが、ジンベエザメの眼球の表面には歯のような細かなギザギザの突起がびっしりとついています。おそらく眼球の保護に役立てていると推測されていますが、確かなことはわかっていません。

また余談ですがジンベエザメは眼球自体を体の奥に引っ込めることができます。眼球の歯のような突起と何か関係があるのか、そのあたりもまだまだ解明がされていません。

 

3.ジンベエザメの食性

ジンベエザメの主な食事はプランクトン。大きな口で海水ごと餌を取り込みエラを使って濾過する、濾過摂食を行っています。これはウバザメやメガマウスザメと同様で、この3種が最も体が大きなサメTOP3に君臨しているのは面白いですね。大きな肉をバリバリ食べるほうが大きく成長しそうなイメージなのに、実際は細かいものをいっぱい食べるほうが大きくなれるという(笑)

ウバザメは泳ぎながら口の中に入ってくる海水を受動的に濾過してる感じですが、ジンベエザメは自分の力で海水を吸い込んで濾過することができます。そのためジンベエザメは泳がずにその場に留まったまま食事をすることが可能です。

あと意外に知られていないのが、ジンベエザメはプランクトン以外にも小魚や海草、魚の卵なども食事の対象にしているということ。ジンベエザメに微生物しか食べない温厚なイメージを持っていた人にとって、小魚の群れを容赦なくギュンギュン吸い込んで捕食する姿はちょっと衝撃かもしれません。うーん、やはりそこは弱肉強食。

ちなみにまだはっきり解明されているわけではないのですが、小魚が群れを作るポイントや、その産卵時期と場所をジンベエザメはちゃんと理解していて、そこを目指すように回遊している傾向があるそうです。これはウミドリやウミガメの巣立ちの時期を狙うイタチザメとまったく同じ思考といえます。サメの知能が哺乳類並に高いという説もうなづけるものかもしれませんね。

 

4.ジンベエザメの天敵

世界一大きい魚なだけあって天敵はほとんどいません。大型のサメの天敵にシャチの名前が挙がることが多いですが、ジンベエザメは比較的温かい海にいるので、寒い海を好むシャチとはほぼ接触の機会がないと思われます。

またホホジロザメイタチザメもジンベエザメを狙いそうなものですが、ジンベエザメの皮膚は厚く固いため、彼らもあえてジンベエザメを襲うことはしないようです。ただし幼く小さな個体であれば話は別でしょうけども。

あとサメの天敵といえば、定番はもちろん人間です。ジンベエザメのフカヒレは中国では最高級に位置するため、現在多くの国で保護が訴えられているにも関わらず発展途上国では水産資源として捕獲されてしまうことも多いようです。

ほとんどの先進国では水産資源としてジンベエザメを利用することはなく、逆に保護の対象。ただし経済的に弱い発展途上国においては水産資源目的で水揚げされることもあるようで、たびたび議論になっています。

 

5.ジンベエザメの生息域と回遊

ジンベエザメは温かい海を好み、基本的には熱帯や亜熱帯の海を回遊しています。ペルシャ湾、モルディブ、ガラパゴス諸島、ココ島、スミラン諸島などがジンベエザメに出会える有名なスポットです。日本でも沖縄や高知沖、伊豆などで目撃されることがあってちょくちょくニュースになったりします。

遠洋と沿岸どちらでも観測され、入江や河口近くで観察された事例もあります。海面近くにいるイメージがありますが、実は餌を求めて200~500メートルぐらいの深さに滞在することもしばしば。最も深く潜った記録は1928メートルにもなるそうです。

基本的にはジンベエザメは単独行動ですが、餌を求めてなのか、つがいを求めてなのか、夏の季節に集まりやすいスポットにおいては100匹単位の群れで観察されたこともあります。

 

6.ジンベエザメの成長と繁殖

ジンベエザメの生態についてはまだまだ研究が進んでいない部分が多いですが、おおむね20~25年程度で成熟、80~130年ほど生きるのではないかと推測されています。

ジンベエザメは繁殖方法は卵胎生をとっています。交尾に成功したメスは体内に精子を長期間保存し、自分の体内で卵を孵化させてそのまま体内で稚魚を育てます。外洋で捕獲された11メートルの雌の体内から幼魚が300体見つかったそうで。稚魚の大きさはだいたい50センチ程度とのこと。

 

7.ジンベエザメとダイビング

ジンベエザメは体は巨大ですが性格は穏やか。ダイバーが近づいていっても特別警戒心を持ったり、攻撃的になったりした事例は耳にしません。そのためダイビングを楽しむ人達にとっては憧れの存在にもなっています。

ただし、世界的に個体数の減少が心配されているだけあって、いつでも簡単に一緒に泳ぐというわけにはいきません。海外にはジンベエザメと一緒に泳げる的なツアーをやっているところもありますが、そういうスポットにいっても野生の個体とちゃんと出会えるかどうかは運次第のようです。

ちなみに沖縄の読谷沖では大きなイケスの中でジンベエザメを飼育しており、ツアーさえ申し込めば確実に一緒にダイビングやシュノーケリングをすることができます。イケスの中のジンベエザメでもOKってことならこれが一番いい方法なのかもしれませんね。

 

8.ジンベエザメが展示されている水族館

飼育が難しいとされるジンベエザメですが、特に日本国内では現在進行形でジンベエザメを展示している水族館がいくつかあります。大阪の海遊館、沖縄の美ら海水族館、石川県ののとじま水族館、鹿児島のいおワールドかごしま水族館の4つがほぼジンベエザメの常時展示に成功しています。

八景島シーパラダイスでも2018年10月から数カ月程度ジンベエザメの展示がされていましたが、残念ながらこちらは亡くなってしまい、東日本ではジンベエザメの展示をしている水族館はなくなってしまいました。

 

海遊館

1990年開館と同時にジンベエザメの展示を開始しました。自分子供の頃に開館してすぐに訪れているのでこの初代のジンベエザメを直に見ています。さすがに記憶はおぼろげですが。

海遊館では6メートルを超えた個体は海に放して、また新しく若い個体を入れて展示をするという代替わり方式をとっています。基本的には代替わりしてもオスは海くん、メスは遊ちゃんで名前を統一しています(同姓2匹の展示になったときには、2匹目のオスに大くん、2匹目のメスに天ちゃんといった例外あり)。

また保護活動のためにクラウドファンディングを行っており、回遊ルートの解明のためのデータロガーを揃えるための資金を募り見事成功させました。

美ら海水族館

1995年から飼育を開始したオスのジンタを現在まで展示しており、これはジンベエザメの長期飼育記録をいまだに更新中です。

ジンベエザメの飼育に関して特に気を遣っていて、十分な水槽の大きさや深さの確保、アクリルガラスへの摩擦防止シートの装着、体調管理、排泄物の分析などに余念がないそうです。2016年からは水槽内での繁殖を目指して雌の個体も同居させて様子をみているのだとか。

ジンベエザメはいまだにその生態がはっきりしていませんが。美ら海水族館でこれからどんどん解明されていくかもしれませんね。個体数が心配されている種だけに早めの生態解明に期待したいところです。

のとじま水族館

2010年にジンベエザメ専用の水槽を完成させ、それから展示が始まりました。海遊館や美ら海水族館ほどの水深がないため5~6メートル程度に成熟するたびに海に放して代替わりしています。能登半島沖がちょうどジンベエザメの回遊ルートになっているため、地元の漁師さん達と連携して常に展示が途切れないようにしているそうです。

日本海側では唯一ジンベエザメの展示に成功していて、個体の入れ替えの様子を動画配信するなどの積極的にジンベエザメの姿を発信しています。

いおワールドかごしま水族館

鹿児島県の桜島を目の前にしたロケーション抜群の場所にある水族館です。2000年11月からジンベエザメの展示を開始しました。のとじま水族館と同じく水槽の深度があまりないため、5メートル程度まで成熟したら代替わりする方式をとっています。名前は代々ユウユウで統一。

9.ジンベエザメの動画

動画1.【沖縄】美ら海水族館 黒潮の海 水槽 ジンベイザメ/Okinawa Churaumi Aquarium Whale shark Healing zoom in 3 Hours 4K

動画2.300匹のジンベエザメが群れる海 Whale Sharks,Isla Mujeres,Mexico ( Shot on GoPro Hero2 )

動画3.Whale Sharks | SHARK ACADEMY

動画4.世界最大の魚類! ジンベエザメを飼育する人たち

動画5.Philippines Whale Sharks! | JONATHAN BIRD’S BLUE WORLD

 

10.ジンベエザメまとめ

以上、ジンベエザメの生態でしたー。

 

水族館で25年に渡って飼育されていても、まだまだ謎が多いジンベエザメ。これからどんどん新たな生態が解明されていくのかな。また色々わかり次第ここで追記していきまーす。

あ、毎回書いてますが、私自身の判断でWebやいろんな書籍から信頼に値すると思える情報をチョイスして書いております。もしかしたら後々に誤情報と発覚するような内容も含まれているかもしれませんが、どうか温かい目でご容赦くださいません(たぶんそれほど見当違いにズレた情報はないとは思うんだけど、いちおう)。

 

さーて、次はどのサメにしますかね。

したらな!

 


参考Web:
Wikipedia ジンベエザメ
Wikipedia(英語版) Whale shark
海遊館 ジンベエザメの秘密
海のいきもの 第77回 世界最大のお魚~ジンベエザメ
WWF Whale shark
Georgia Aquarium -Whale Shark-
Britannica Whale shark
PADI Cabo-Adventures What is a Whale shark
ジンベエザメやシャチのいる水族館

参考書籍:
ほぼ命がけサメ図鑑
サメガイドブック
世界サメ図鑑

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